2011年にリニューアルオープンした天空のオアシス「サンシャイン水族館」。同館の目玉でもある大型水槽「サンシャインラグーン」水槽は、南国の海をイメージした水槽内を優雅に泳ぐたくさんの魚たちの姿が見られることで人気を集めていますが、2012年頃から水質を正常に保つための海水循環ポンプで、とある問題を抱えていました。2017年3月、弊社のイージスリング「イージスSGR」を導入したところ、健全化を実現。海水循環ポンプが、1年以上経過した現在も問題なく稼働しています。
そこで、サンシャイン水族館の運営元である株式会社サンシャインエンタプライズのアクアゲストコミュニケーション部次長・吉田努さんにお話を伺いました。

サンシャイン水族館
サンシャイン水族館は、2017年度の来訪者数が過去最高の197万人に達した。その中でも「サンシャインラグーン」水槽は人気を集める大型水槽だ。

ポンプから異音が発生、原因不明の不具合で心配の種に

アクアゲストコミュニケーション部次長の吉田努氏。「サンシャインラグーン」水槽、「天空のペンギン」水槽といった人気水槽をはじめ全水槽の機器を管理している。

── まずは、アクアゲストコミュニケーション部の役割を教えていただいてもよろしいでしょうか?

吉田:株式会社サンシャインエンタプライズの中で、サンシャイン水族館を運営している部署です。その中で私は水族館のイベント企画や設備管理を担当しています。機器や設備を日常的にチェックして、不具合の早期発見やメンテナンスの計画などを行っています。機器や設備に異変の兆候が見られたら、メーカーや関係会社に連絡するなど、改善に必要な手配を行います。

また、お客様が来館される度にワクワク感を抱いて貰えるように、デザイナーや飼育スタッフとともにアイディアを出し合って、新たな設備の開発や演出の役割も担っています。例えば、「サンシャインラグーン」水槽では、奥が深い青になるように水の透明度や照明を工夫して、境目をわからなくしています。これは、果てしなく続く海を切り取ったかのように見せる工夫なんですよ。

サンシャインラグーンの海水循環ポンプ
「サンシャインラグーン」の海水循環ポンプ

── 海水循環ポンプは、どのような設備なのでしょうか?

吉田:海水循環ポンプは、水槽内の飼育水を循環させて濾過するためのポンプになります。たっぷりとエサを食べた生き物たちは、当然ながら排泄するので、それに見合った水処理が必要となります。そのため、約240tの海水を有する「サンシャインラグーン」水槽には、1時間ごとに120tほどの水を循環させるポンプが2基設置してあります。もし故障などで長時間止まると、水が濁って視界が悪くなったり、水質に影響して魚の具合が悪くなったりする可能性もあるので、24時間止められないポンプなんです。

── 異音はどのような経緯で発見されたのですか?

吉田:ポンプの設置から1年ほど経過したころ、2基ともにポンプの周辺から異音が発生するようになったんです。ベアリング交換をすると異音はなくなるのですが、3ヵ月ほど経過すると再び異音が発生するという状況を繰り返していました。

そこで、ポンプメーカーに運転状況の確認や測定を依頼し、保守や整備、工事などを請け負うグループ会社に動力や電源のチェックをしてもらいました。みんなでタッグを組んで原因を調べ直したところ、迷走電流が流れて電動機側ではなくポンプ側のベアリングを損傷させ、異音が発生していることが判明しました。しかし、当館内やほかの水族館で類似の症状が発生しているとの話はなく、手の打ちようがありませんでした。

── 生き物への影響はなかったのですか?

吉田:水の循環量や水質なども確認しましたが、問題はありませんでした。しかし、音の問題には悩まされていたんです。設置してある部屋自体は防音設備を施しているので、お客様へご迷惑をかけることはなかったのですが、ポンプ周辺水槽内の生き物への影響が心配でしたね。

── そのほかに、どのような問題がありましたか?

吉田:今後、突発的にポンプのメンテナンスが必要だとすると緊急的に費用の準備が大変でした。当館では、10年ほど先まで整備のスケジュールを立てているため、整備や交換のタイミングを変更する必要が出た場合には、改めて予算を取らなければなりません。しっかりした予算案が必要になるので、それを用意する負担も大きかったです。
また、私もそれらの問題に関わる事で時間を費やして大変でしたね。

行き届いたケアで安心してお任せできると感じた

── 2016年12月に弊社にご相談いただいたきっかけは?

吉田:音以外に不具合が見られなかったとはいえ、そのままにしておくわけにはいきません。メーカーや協力会社のあいだで相談してもらったところ、福田交易さんをご紹介いただいたんです。

── 弊社と関わる中で感じたことがあれば教えてください。

吉田:ご紹介いただくまでイージスリングの存在を知らなかったのですが、設置前の説明がとてもしっかりしたプランだったので、安心してお任せできると思いました。
また、軸電圧テスターを使用して、ポンプの軸電圧波形を測定してくれました。そこで、ベアリングに高い電圧がかかっていたことや、1秒間に何度も急激な電圧降下が起こっていたことがわかりました。それにより摩擦が生じてベアリングの軌道面に、洗濯板状の損傷である「フルーティング」が発生していたことなどをレポートでまとめてくださいました。

イージスSGR取付け後に測定した数値
左のグラフは対策前。軸電圧波形を測定しグラフ化することで、何が起こっているのかがわかるようにした。
右のグラフは、イージスSGR取付け後に測定した数値。
イージスSGR取付け後に測定した数値
ポンプ軸にイージスSGRを組み込んで、ベアリングにかかっていた軸電圧をバイパスさせることで、異音が発生しなくなった。

── 実際にイージスSGRを導入してみていかがでしたか?

吉田:メーカーがポンプ軸にイージスSGRを組み込んだ形で納入してくださったので、ポンプの交換だけで作業が終了し、設置時のポンプの停止時間が最小限で済んだのは助かりました。
効果としては、設置後は異音が聞こえなくなりました。軸電圧波形の測定結果を拝見して、イージスリングが余計な電圧を吸収してベアリングへの負担がなくなっていることも一目でわかりました。その上、何ヵ月経っても音が大きくなることはなく、問題なく稼働したことで、改めて効果を実感しています。

イージスSGRは基本的にメンテナンスフリー

── イージスSGRで最もメリットを感じるのはどの部分ですか?

吉田:メンテナンスフリー*というところですね。イージスSGRを導入して異音の心配がなくなりましたので、開発などに取り組める時間も増えて、水族館全体をより良くしていくための業務に尽力できるようになりました。来年度にはポンプの予備機の購入を予定しているのですが、それもイージスSGRで軸電圧対策を実施済みのポンプを指定しています。

分解整備時は新しいリングへの交換を推奨します。

── 予備機のポンプに、初めからイージスSGRを設置して導入しようと思われたのはどうしてですか?

吉田:イージスSGRを設置したことで異音が落ち着いたとはいえ、発生原因が改善されたわけではありません。イージスSGRを外した状態で不具合が出ないという実績がないので、セットで用意しておかなければ予備機にならないと思ったからです。ポンプを止める時間は最小限に抑えたいので、安心できる状態にしておきたいですからね。

── 弊社に今後期待するのはどのようなことですか?

吉田:特殊な機器を導入した場合、その機器自体に不具合が起きたときに、水族館のスタッフが対応することができずに最悪な状況を招いてしまうのではないかという不安があります。私が最も大切にしているのは、楽しみに来館されるお客様と、水槽内の生き物たちです。そのために、毎日見えないところもチェックして、ベストな状態をキープできるように心掛けているので、たまに機器の様子を確認して、太鼓判を押してくれると安心ですね。もしものことがあったときには、できるだけ早急に対応してもらえたらうれしいです。

イージスSGRを取り扱うのは国内では弊社のみ

イージスSGR
イージスSGRは幅広い分野での実績があり、活用の幅も広がっています。

この度、サンシャイン水族館様にて導入いただいたイージスSGRは、産業用モーター、蒸気タービン、電気自動車など、幅広い分野で多数の採用実績を持つ軸アースリングです。世界中のモーター、ポンプ、発電機、タービンなどで使用されています。また、軸電圧測定もサービスで行わせていただいております。
弊社は、機械系専門商社として高性能・高精度の機械要素部品を幅広く納入するとともに、高度な専門知識を持つ技術系エンジニアによるきめ細かな技術サービスを提供します。「専門商社」と「技術」のかけ合わせによる、弊社独自の提案が可能です。中でもベアリングには精通しているため、どのようなことでも気軽にご相談ください。お客様のニーズに敏速に対応いたします。

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