はじめに

今日、ガソリンスタンドで燃料を給油し、人により異なる目的や目的地に向け、ハンドルを握り運転してきた時代から、CASE(Connected - Autonomous - Share & Service - Electronic)というコンセプトのように、自動車の定義そのものが大きく変化する時代と言っても過言ではありません。

電気自動車の開発は、従来の内燃機関の自動車に技術的に匹敵するほどのところまで進んでいます。一度の充電で航続できる距離が伸び、各国政府の補助金も電気自動車の普及に拍車をかけています。
また、2021年に施政方針演説で日本政府は、2035年までに新車販売における電動車100%を実現すると、目標を発表しました。各国急速なEV化に向け、2030年代は大きな転換点を迎えることが予想されています。

ベアリングとグリースからモータの信頼性
motor shaft without AEGIS
図1 軸電圧は軸受電流として電食を起こし、電磁干渉を引き起こす
motor shaft with+ AEGIS
図2 イージス®EVリングで抑えられる軸電圧

1. 電動化で起こる「2つの問題」

軸受の電食

産業用モータや鉄道などにおいて、インバータの普及とともに問題になってきた「軸受電食」。バッテリEVにおいても、ハイブリッドカーにおいても、モータはインバータで駆動させるため、モータの軸電圧が発生します。

自動車の場合、ガソリン車と比べ軸受の数が減ると言われるEVであっても、モータ以外にも軸受があり、e-Axleでは歯車にも電食を起こす可能性もあり、自動車で求められる高い信頼性をもった軸アースが必要になります。

EMI/RFI

自動車の場合、衛星ナビシステム・電話・タブレット・AM/FMラジオ・エンターテイメントシステム・ワイヤレスセンサなど、数多くの電子機器が搭載されます。
しかし、インバータ制御によって発生する軸電圧は、電磁干渉(EMI)や無線周波数干渉(RFI)を引き起こす可能性があります。

これを抑制するためには、軸電圧を電食対策で必要になる電圧よりもさらに低い、mVレベルまで抑制させる必要があります。

2. 世界中の電気自動車で採用が広がるイージス®EVリング

Electro Static Technology(米国)が開発したAEGIS Bearing Protection Ringは、独自開発した導電性・機械的特性の優れるマイクロファイバを、360°リング内径に沿って配置したアースリングで、電気自動車以外においても、製紙製鉄、石油化学、食品工場など、インバータモータの故障を防いでいます。

電気自動車では世界的に20車種以上に採用され、電食とEMCと2つの問題に新しいソリューションで応えています。特に自動車ではノイズ対策も非常に重要であり、軸電圧をmVレベルまで低減させるために、モータの軸側の改良も必要になる場合もありますが、長期間メンテナンスフリーで高い信頼性をもつ軸接地技術として、各社イージス®EVリングを採用し、また多くのプロジェクトで採用が検討されています。

イージス®EVリングのホワイトペーパーをダウンロード頂けます。詳細は表示されるポップアップからご確認ください。


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