概要

ここでは軸受(英語ではベアリング「bearing」と呼ばれます)に負荷されるアキシアル荷重に焦点をあてます。JIS B 0104「転がり軸受用語」(対応国際規格:ISO5593「Rolling bearing - Vocabulary」)に記載されている定義によりますと、アキシアル荷重とは「軸受中心軸に対し、平行な方向に働く荷重」と読み解くことができます。アキシアル荷重のイメージに関しましては以下の図をご参照ください。

図にはアンギュラ玉軸受を例に載せましたが、深溝玉軸受、円すいころ軸受等、他の軸受が組付けられている場合でも、アキシアル荷重の向きおよび考え方は同じになります。

軸受の中にはアキシアル荷重を受けることができない軸受(円筒ころ軸受、針状ころ軸受等)が存在するため、軸受選定時には注意が必要です。軸受に負荷されるアキシアル荷重の主な単位はN [ニュートン]、kN [キロニュートン] になります。

なお、アキシアル(axial)の語源はラテン語のaxis(軸、心棒、茎)という説があります。
「軸方向」を意味する言葉として、「アキシアル方向」「スラスト(thrust)方向」という2種類の表現がよく用いられます。では、アキシアルとスラストの違いは何でしょうか。
Oxford英英辞典で調べますと以下の説明がなされております。

◆Axial(形容詞)⇒axis(名詞)に関連します。
と記載されておりますので名詞同士を比較します。

◆Axis(名詞)⇒An imaginary line through the centre of an object, around which the object turns.
訳:ある物体の中心を通る仮想的な線、その仮想線の周りをその物体は回転します。
(⇒回転体の中心線、軸線)

◆Thrust(名詞)⇒a sudden strong movement that pushes sth/sb forward
訳:何か/誰かを前方に押し出す、急な強い動き。

つまり、「中心線、軸線」にぴったりとあてはまるのが「アキシアル」となります。「スラスト」になりますと「力が働く方向」という意味になると考えられます。

ただ、とあるイギリス人に確認したところアキシアル方向、スラスト方向どちらも意味は同じだと発言していたため、そこまで区別する必要はないかもしれません。
なお、Thrustの語源は古ノルド語のthrýsta(押す)という説があります。
語源をラテン語に揃えたい場合はアキシアル/ラジアル方向になります。
*語源に関しましては諸説ございます。参考程度にお読みいただけますと幸いです。

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