概要
清浄度とは、金属表面、潤滑剤、空気など対象として考えている物体、物質の清浄度の度合いのことです。一定面積または一定容積中に含まれる汚染物の寸法と数または質量によって表されます。
精密軸受では接触部における清浄度は、全般的に負荷の軽い軸受だと寿命に対する影響が大きく、ならびに汚染が摩耗を促進するということから極めて重要な役割を持っています。
材料の清浄度
材料の清浄度は軸受の性能と実用寿命に大きな影響を及ぼします。製鋼時に発生する非金属介在物は、材料の不均一部分として応力集中を発生させ、これによって軸受の実用寿命が短くなる可能性があります。応力が増加することによって介在物から更にき裂が進展し、き裂は表面剥離(フレーキング)にまで進行して、その段階で転がり軸受の実用寿命は尽きることになります。
清浄度の向上
軸受の必要寿命と軸受材料の清浄度との兼ね合い
軸受鋼のいわゆる微視的清浄度(酸化物系、硫化物系介在物など)と軸受の寿命との関係は以前から確認されています。したがって鉄鋼メーカーにおいても、清浄度を向上させることが鋼の品質向上の中心課題になっています。この問題に関しては、合金鋼清浄時の温度制御、真空脱ガス工程、それに続く取鍋(とりべ)による脱酸工程、出鋼工程が決定的な役割を果たしています。したがって、軸受の必要寿命と鋼の清浄度との関係を考慮しつつ、経済的に見合う適切な妥協点を見出す必要があります。
介在物の低減
介在物の低減(清浄度の向上)の例を以下に示します。このデータはある製鋼メーカーの10年間の記録です。
軸受鋼と工具鋼の比較
一般的な工具鋼と軸受鋼の介在物を比較すれば、軸受鋼の清浄度が大幅に高いことがわかります。軸受鋼には介在物がほとんど存在していないのに対し、工具鋼にはさまざまな種類の介在物が存在しています。溶鋼工程の管理が不十分であれば介在物が増加し鋼の品質は低下します。