概要

焼入れ硬化された軸受鋼が適用された標準軸受は、一部の型式を除いて、120℃(短時間であれば150℃まで)の運転温度で使用することができます。鋼材に寸法安定化処理を施すことで、350℃まで使用可能となります。寸法安定化処理が施されている軸受の運転温度を下表に示します。

最高運転温度( ℃) 寸法安定化処理グレード
120 SN
150 S0
200 S1
250 S2
300 S3
350 S4

軸受が様々な運転温度を経てきた後でも、ある定められた温度の下で測った寸法は変化してはいけません。このような寸法変化を防ぐために、軸受メーカーは焼入れ後に様々な焼き戻しを行い、残留オーステナイトの分解とマルテンサイトからの炭素の析出をあらかじめ行っています。

また、S1以上になると硬さが低下するため、それに伴って軸受の負荷能力も低下します。そのため、高温使用時で軸受の寿命計算を行う際には、このことを考慮する必要があります。

内外輪、転動体に寸法安定化処理を施した軸受の内部に高温用グリースを封入することで、高温アプリケーションにおいて耐熱ベアリングとしての使用が可能になります。

独SWC社製の耐熱ベアリングは、内外輪および転動体にS2寸法安定化処理が施され、高温雰囲気における耐熱ベアリングとしての使用を可能にしています。更に表面をリン酸塩皮膜処理によりコーティングすることにより、耐食性と潤滑性能を向上させています。特殊ラジアルすきまの採用により、温度変化に伴う材質の変形を許容し、高温環境下での運転を実現させています。保持器は低温時に高い安定性を発揮するリベット固定スチールリボンケージが採用されています。耐熱ベアリングの潤滑剤には、固体潤滑剤が使用されることもあります。この場合の潤滑は、軌道面に黒鉛や二硫化モリブデンの粉末またはペーストを使って形成された薄膜により行われます。

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