概要

触れ合っている物体と物体のうち、片方が運動しようとする時、又は、運動している時、その運動を妨げようとする現象を摩擦と呼びます。摩擦は、接触している物体同士の接触面に発生します。

産業機械と摩擦

数多くの部品で組み立てられている産業機械等では、部品と部品の摩擦は、発熱、摩耗、振動、騒音、更にはエネルギー・ロスの原因となり、機械の寿命や性能に大きく影響することから、メーカ各社の技術が投入されます。

摩擦は、物体が運動を始めようとする瞬間と、運動開始後では接触面に発生する運動を妨げようとする力(摩擦力)が異なります。静止している物体が運動を始めようとする瞬間、その物体と接触している物体との間に生じる力を「静止摩擦力」と呼び、接触しながら別々に運動している物体間に生じる摩擦を「動摩擦力」と呼びます。自然現象として、〔静止摩擦力>動摩擦力〕であることは広く知られています。

摩擦と潤滑

一般的には、機械の摩擦を減らす方法として、油を利用した油潤滑が多く用いられます。現在も車など数多くの機械で使用されている油潤滑では、触れ合う物体と物体との間に薄い油の膜を介在させ、物体同士の表面が直接擦れ合わないようにすることで、摩擦を減らし滑りを良くしています。入手性の良い油を使用するため、手軽な一方で、摩擦面には油の粘り気による抵抗(粘性抵抗)が発生します。一般的に、粘性抵抗は摩擦抵抗より小さいものの、それでも機械の発熱やエネルギー・ロス等の原因になったり、また、その抵抗により機械動作に制限が生じたりします。更に、周囲環境を汚染する油を使用するため、油を使用しない潤滑方法が開発されました。その結果、考え出されたのが空気軸受(エアベアリング)です。

産業機械の摩擦対策

エアベアリングは、ベアリング面とその面に接している物体の表面との僅かな隙間に、連続的に高圧空気を送り込むことで、薄い空気層を作り出します。その空気層が摩擦面に介在することで、物体を空気で滑らせる:潤滑することができます。ゲームセンターで見かける、テーブルに開けられた沢山の小さな穴から空気が噴出し、小さいプレートを空気浮上させて打ち合う遊具と、原理は同じです。

一般的に、〔油の粘り>空気の粘り〕であることは、直感的にお分かりになると思います。発生するのは空気の粘性抵抗のみですので、非常に僅かな抵抗しか発生しません。

エアベアリングを活用すると、従来では、摩擦や油の粘性の影響で実現できなかったような機械を作り出せます。例えば、抵抗を極力排除したい用途の回転シャフトやターンテーブル、ミクロン単位でストップ&ゴーを繰り返す精密ステージ等では、エアベアリングが活躍します。現在では、液晶パネルや半導体の製造装置、宇宙機等のシュミレーションモデル、計測機器の校正基準装置等、幅広い分野で採用されています。

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