概要
Fault Tree Analysisの略で、故障の木解析とも言われ、故障・事故の分析手法として用いられています。
これは、米空軍により1961年に開発された大陸間弾道弾の発射管制システムの信頼性評価に関する手法を、ある研究機関が開発したことが始まりと言われています。この手法は、単に装置・機器の故障要因だけでなく、人的ミスや外乱による要因を含めた総合的な発射成功/失敗の確率を把握する手法の基礎となりました。これをきっかけに、原子力プラント・化学プラント・交通システムなどに幅広く応用され一定の効果を発揮してきました。
FTAでは、フォルトツリー(故障の木)と呼ばれる樹形図が用いられ、解析対象であるシステムに起こり得る特定事象(故障・事故・異常・危険状態など)を最上位に置き、これらを発生させる原因事象を展開していきます。そして、この原因事象の原因となる事象を繰り返し展開し、根本原因となる基本事象にまで分解し、故障原因を分析していきます。
下図は工作機械とその構成要素(送り軸、主軸)の損傷要因を表したものです。
例えば、工作機械の故障を特定事象とすると、送り軸、主軸の故障が原因事象、さらに主軸の損傷要因の '潤滑の問題' が原因事象の一つであり、この要因としてあげられる潤滑材選定ミス、潤滑材供給量不適切、異物混入、などが基本事象となります。
類似した手法に特性要因図(フィッシュボーンチャート、または考案者の石川ダイヤグラムとも呼ばれる)があります。これは、FTAのフォーマットを木に例えているのと同様に、魚の骨に例えたものです。厳密には各々のフォーマットは異なりますが、基本的な考え方はほぼ同様と考えても問題はありません。
弊社取扱い商品のベアリング、スピンドルなどの損傷要因分析の手法の一つとしても活用されています。