軸受の振動は、弾性変形、ころがり表面の影響、摩擦の影響、あるいはグリースに起因する騒音などが原因になって発生します。

弾性変形

軸受に力が作用すると接触部に弾性変形が発生します。たとえラジアル荷重が一定であっても、外力の方向に対する転動体の位置によって軸受の弾性は変化します。そのため、軸受が回転すると、転動体の通過に応じて軸受の中心軸に振動運動が発生します。
ただし外力が一定の場合には、転動体の位置の変化に起因する軸の変位は非常に小さくなります。またアキシアル方向に予圧を加えることによって、この変位の影響をさらに軽減することができます。

表面粗さの影響

軌道面と転動体表面の品質は、軸受の騒音に大きな影響を及ぼします。一般的に転動体の表面品質が軸受の騒音に対してもっとも大きく影響します。したがって軌道面より転動体の表面品質に対する要求の方が厳しくなります。また、ころがり成分だけでなく、主として保持器とその案内面あるいはシールとその相手面との間に発生するすべり成分も騒音に関わります。それに加えて、表面の周期的うねりも軸受の騒音に大きな影響を及ぼします。

摩擦と潤滑の影響

ころがり接触部分に潤滑膜が存在していれば騒音は減衰します。潤滑膜が厚くなるほど、2つの転走面間の金属接触は減少し、良好な弾性流体潤滑膜が形成されると、2つの転走面は完全に分離されます。しかし、硬い微粒子が潤滑膜の中に散在していれば、それらが絶えず転走面に押し付けられて回転するため、時間が経過するとともに、転走面は全体にわたって粗くなります。それにともなって騒音は大きくなります。噛込まれる粒子が大きいほど、また硬いほど固体伝播音は強くなります。同じ大きさの微粒子は、大きな軸受よりも小さな軸受に対して、はるかに大きな影響を及ぼします。たとえば10μm以上の微粒子がほんのわずかな量しか存在していなくても、小径の軸受の騒音は非常に高くなります。低騒音の小径および中径軸受の大部分はグリース潤滑となります。この場合、グリースの均一な分散が低騒音の決めてとなります。潤滑膜厚さ計算の基礎となっている基油の粘土と並んで、増ちょう剤も軸受の騒音に影響を及ぼします。たとえば基油が鉱油のリチウム石けんグリースは、軸受けの低騒音化に効果があります。したがって潤滑材を選定する場合には、求める機能に優先順位を決めて検討する必要があります。

摩擦に起因する騒音

摩擦に起因する騒音グループには、スリップに起因する典型的な騒音も入っています。ロータが円筒ころ軸受で支えられている電動機の場合に、この現象は比較的頻繁に発生します。その主要な原因は、軸受荷重が低すぎるため、ころ列が絶えず、あるいは不規則にスリップして回転することにあります。これによって聞くに耐えないような騒音が発生する場合があります。必要最小荷重を加えると同時に、潤滑をよくすることがこの対策となります。

引用文献:Schaeffler Technologies AG & Co. KG(著),吉武立雄(訳),転がり軸受実用ハンドブック,2017年

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