概要

超硬ロータリーバーは先端工具の一種で、主に製品の成型・仕上げ(バリ取り)工程などで使用される刃物です。従来はエアーグラインダーなどの回転工具に取り付け、手作業で使用されることが多かったのですが、最近ではロボットなど自動化装置で使用されることも増えてきています。

刃部の材質は超硬となっていますが、シャンク部については超硬の製品(オール超硬またはソリッド・タイプ)と、鉄製のシャンクを刃部にロー付けしたものの2種類があります。

その他特徴については、以下の通りです。

1.刃部のカットタイプについて

主なカットタイプは、シングルカット、ダブルカット、アルミカットの3種類です。

超硬ロータリーバー01.jpg

  • シングルカット

    一方向の刃で構成されており、刃数は他の刃物(エンドミルなど)と比べて多いため、加工面が綺麗に仕上がる。ただし針状の切粉が排出されるため、手作業ではやや使いづらい。

  • ダブルカット

    シングルカットに逆側の向きの刃を付加したもの。加工面の仕上がりはシングルカットより粗くなるが、粉状の切粉が排出されるため手作業でも安全で使用しやすい。ただしチップポケットが小さいためアルミや樹脂など融点の低い材質では目詰まりしやすい。

  • アルミカット

    刃はシングルカットと同様に一方向だが、刃数がより少なく深くなっており、切削量が大きい。チップポケットも大きいためアルミなど融点の低い材質でも目詰まりしづらいが、加工面の仕上がりは,シングルカットと比べて粗くなる。

2.刃形状について

メーカーごとに型番(呼び名)は異なりますが、大部分の形状については規格で定められており、各社で大きな違いはありません。一例としては下記の通りです。

超硬ロータリーバー02.jpg

3.寸法について

国内では主にシャンク径がφ3mmとφ6mmのものに分けられます。刃部の寸法はメーカーごとに若干異なりますが、各刃形状につき数種から十数種類まで選択可能なことが多いです。また、メーカーによっては特殊寸法での特注品製作も可能な場合があります。

<特注品製作‐事例>

  • 刃径、刃長、全長などを特定の長さへ指定
  • 刃の枚数変更(細目、粗目、枚数指定)
  • 刃の向き、捻れ方向の変更
    標準は右回転 (後方から見て時計回り) のグラインダー用で、切粉が後方に排出される仕様の刃が形成されていますが、左回転のグラインダー用や、切粉が前方に排出される仕様の刃へ変更することも可能です。

4.使用時の条件、注意事項について

  • 各製品の推奨回転数がカタログやHPなどに掲載されており、それらを確認したうえ適正な回転工具に取り付けて使用することが推奨されています。ただし、シャンクが長いなどで突き出しが長い(オーバーハング状態)場合は、先端の振れが大きくなるため回転数を落とすなどの対応が必要となります。回転数が合わないとビビリや目詰まり(構成刃先)を起こすことに繋がります。
  • 公差はエンドミルなど切削工具に比べて一般的に大きいため、自動化装置などで使用する場合、取り付け時はゲージなどを使用して突き出し長さを確認することが推奨されます。加工する際、急に強く押し当てすぎると刃部が撥ねて欠損に繋がる場合があるため、徐々に押し当てる力を強めながら使用する必要があります。また刃部が複数箇所同時に接触してしまう場合も撥ねやビビリ(チャタリング)に繋がるため、狭い箇所での使用の際などでもワークとの接触は常に一箇所となるよう、適した形状の製品を使用する必要があります。
  • 刃先の目詰まり(構成刃先)を防止するためには、刃部に切削液を塗布する場合や、コーティングを行う場合もあります。(TiN、TiCN、AlTiN、ZrN 他)

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