• お 客 様 製紙パルプ会社
  • 製造機械 抄紙機(新聞用紙、印刷用紙など)
  • 対象設備 カレンダーロール
  • 保護対象 軸受台(ピローブロック)
  • 問 題 点 軸受の早期損傷(電食)

背景

カレンダーロールに帯びる静電気

製紙工場や段ボールの工場にある製紙機械(抄紙機)の下流プロセス・ドライパートの後半に位置するカレンダーロール。カレンダーロールは、紙の光沢を向上させるために使用される装置で多くの製紙工場や段ボール製造工場では、乾燥セクションの後半に設定されています。

このドライパートのロールでは特に、高速で滑り流れる乾燥した紙によって、大量の静電気を発生させています。

抄紙機ロールは両端にある軸受台によって支えられています。この軸受に静電気が流れることで潤滑劣化や軸受の早期損傷を招く場合があります。

図1. ロールと紙の間で起こる放電

導入した方法|軸接地の強化

マイクロファイバによる除電

こちらのお客様では、平均故障間隔(MTBF)404.4日最短故障間隔92日という短期間で、カレンダーロールという非常に重要なロールの軸受が損傷を繰り返していました。それまで、静電気除去装置を導入してみても軸受損傷を防ぐことができませんでした。

そこで、2020年5月にイージスPROリングを導入頂くことになりました。

イージスアースリングは、米国のElectro Static Technology社が開発した軸全周に内接するように配置したマイクロファイバによって軸をアースする製品で、軸電圧によって電食や潤滑劣化、軸受早期損傷を招くことの多い、インバータモータで使用されるものです。

図2. イージス®PROリング
図3-1. ロール両端の軸受台に取付けたイージスPROリング
図3-2. ロール両端の軸受台に取付けたイージスPROリング

導入効果

MTBF 404日が 1,124日以上順調稼働

図4.の通り、2020年5月にイージス®PROリングを導入する以前は、平均故障間隔404.4日で、最短92日という短期間で、行っていた軸受交換が、2023年6月には1,100日を超え、現在もまだ寿命延命化に成功しています。

ベアリング22219(自動調心ころ軸受)単体のコストは1万円程度であっても、短時間で繰り返し壊れる軸受の交換には大変な労力を要します。万が一、抄紙機を緊急停止させるほどの損傷に至ってしまった場合には、ダウンタイム損失が数百万円にも上る可能性もあります。
回転するロールを支える、軸受台2つの延命化により、抄紙機全体の信頼性を大きく上げることに貢献することができています。

図4. 課題を抱えていたロール用軸受の平均故障間隔(MTBF)

繰り返していた振動上昇が安定

イージス®PROリングを導入する前は、軸受箱に設置した振動モニタリングが定期的に加速度(PEAK、O/A)上昇を示し、軸受損傷を発生していたところに、2020年5月にイージス®PROリングを導入頂いてから、2023年6月で3年以上が経過した今もまだ、振動上昇することなく順調に運転できています。

図5-1. ロール反駆動側の振動モニタリング
図5-2. ロール駆動側の振動モニタリング

お客様の声

『当初はインバータモータからの軸電流を疑って、このロールに減速機を介して接続されていたモータを取り外しました。ところが、それでも軸受台で電食が繰り返し発生したため、今度は減速機もロールから切り離してみたものの、事態は収まりませんでした。』

『他の対策製品の技術も取り入れてみたものの、あまり大きく改善には至らなかったため、2020年の5月にロールの両端の軸受台にイージスPROリングを取り付けてからもう3年以上が経過(2023年6月当時)していますが、異音や振動も起こらず、順調に運転できておりとても助かっています。』

※このアプリケーションは、紙とロール間の静電気を除去するのではなく、ロールから軸受台を流れ軸受が損傷することを防ぐ目的でご採用頂いています。静電気の発生自体を抑制した事例ではありません。

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