用途

  • インバータモータの軸受保護・潤滑劣化防止(電食・軸受電流対策)
  • サーボモータやサイリスタ制御の直流モータ
  • 電気自動車のノイズ除去(RFIノイズ・EMIノイズ対策)
  • ポンプ、タービン、減速機、押出機、速度検出器など
  • ガントリークレーン、ベルトコンベア、データセンタ空調など

特長

  • メンテナンスフリーで長寿命
  • 一体型に加え分割型があるため、カップリングやプーリがついた状態でも取付け可能
  • 各モータメーカでオプション対応
  • 産業用モータ、電気自動車など幅広い分野で採用実績多数
  • 経験豊富なイージス®取付店(モータ整備会社)紹介可能

インバータ制御がもたらす弊害

リッジマークだけでない軸電圧の弊害

軸受電流による潤滑劣化と軸受損傷
軸受放電による損傷

インバータ制御では、コモンモード電圧が原因で、モータの軸と筐体(フレーム)間に有害な軸電圧を発生させます。この対地軸電圧は、電動機やカップリングなどで接続された機械側(減速機やポンプなど)の軸受で放電し、ベアリングを早期損傷させたり、グリースなどの潤滑を早期に劣化させたりします。そのため、毎分数千回発生していることもある、ベアリングの放電を防ぎ、潤滑中の鉄粉濃度上昇や劣化を防ぎ、ベアリングの損傷を抑制するため、インバータ制御であればモータの出力に関わらず、信頼性のあるアースリングでモータの軸をアースしなければなりません。

また、電動機出力が大きい場合は、対地軸電圧に加え、高速スイッチングが原因の軸端間電圧が発生するため、負荷側の軸をアースするだけではなく、反負荷側で軸絶縁させる必要があります。さらに電動機と機械がカップリングで接続され、電動機と機械が分離ベースの(鉄骨などの導体上に共通で据え付けられていない)場合、電動機筐体の電位変動によって、機械と電動機のフレーム間において、筐体間電圧も発生します。この場合は平編線などの結線も必要であり、これらは取捨選択されるものではなく、下記の表1を参考に適切な対策が必要です。

《参考》日本電気工業会 技術資料169号「一般用低圧三相かご形誘導電動機をインバータ駆動する場合の適用指針に関する補足説明資料」


イージス® SGR / イージス® PRO リングの選定方法

AEGIS Group2

①電動機出力と電動機入力電圧を確認します。

モータの出力によりモータで発生する電圧成分が異なります。そのため、モータの出力と電圧で対策が異なります。

表1 必要な軸受電流対策

交流電動機の場合 〜 75 kW (低圧モータ) 75 〜 375 kW (低圧モータ) 375 kW 〜 (600 V〜)
直流電動機の場合 〜 7.5 kW (低圧モータ) 7.5 〜 225 kW (低圧モータ) 225 kW 〜 (600 V〜)
軸受電流成分 静電容量によるEDM電流 静電容量によるEDM電流 + 高周波循環電流 静電容量によるEDM電流 + 高周波循環電流 + 低周波循環電流
負荷側 イージス® SGR イージス® SGR イージス® PRO
反負荷側   絶縁軸受を軸絶縁
(循環電流を絶つため)
絶縁軸受を軸絶縁
(循環電流を絶つため)

イージス®SGRとイージス®PRO

イージスSGRとイージスPRO

イージスSGR(左)とイージスPRO

表2 イージスSGRとイージスPRO

イージス®SGR イージス®PRO
交流モータ:375kW未満且つ、600V未満
直流モータ:225kW未満
適用基準 交流モータ:375kW超または、600V超
直流モータ:225kW超
2層 導電性ファイバ 6層
7.9 ~ 152.9 軸径 [mm] 63.5 ~ 762
一体型・分割型 リング形状 一体型・分割型
ボルト固定(M3/M4)
導電性エポキシ固定
圧入固定
固定方法 ボルト固定(M4)
特殊ブラケット「BKT-PRO-2(別売)」(M8)
圧入固定
7.5 リング最大厚み
[mm]
一体型 15.88
分割型 16.51
カタログをご確認ください リング外径
[mm]
軸径+47.24
カタログをご確認ください ボルト穴BCD
[mm]
軸径+28.95
イージス®SGR 製品詳細ページ イージス®PRO

②軸や電動機ブラケット部の形状をご確認ください。


取付ける部分の軸径にあわせイージス®リングの型番を選定します。
※導電性マイクロファイバーが損傷しないよう、軸の段/キー溝など平坦でない部分には取付けないでください。もし軸の段やキー溝がある場合は、表2の通り、低圧電動機で375kW未満(DCモータは225kW未満)には、イージス®SGR uKITをご使用ください。高圧電動機または375kW超(DCモータで225kW超)の場合は別途ご相談ください。
塗装など導通を妨げるコーティングがある場合は必ず導通を阻害する塗装などを除去し、シルバーペイント(P/N:CS015)を塗布してください。軸表面の導電性の維持は極めて重要です。

イージスリング取付け確認

③反負荷側の軸絶縁

軸絶縁が必要な電動機で、軸絶縁されていない場合は、反負荷側のベアリングを絶縁ベアリング INSUTECT®に交換します。

製品詳細情報

低圧電動機で375kW未満の交流電動機と225kW未満の直流電動機 イージス®SGR

高圧電動機または375kW超の交流電動機と225kW超の直流電動機 イージス®PRO

モータの軸電圧とイージス® リング取付け後の軸電圧波形

FAQ:よくあるご質問

イージス®リングは摩耗しないのですか?

摩耗しないのではなく摩耗しづらく、また軸径程度まで摩耗しても機能が軸受寿命まで継続します。

イージス®リングは、その独創的なデザインにより、機械的に軸と接触しているマイクロファイバと、接触せずにナノレベルで近接しているファイバが混在します。
特許取得のElectron Transport Technologyにより、すべてのマイクロファイバが電気的接点を保持し、常に最適な接地(アース)性能を発揮します。この技術がモータの軸受が寿命を迎えるまで、機械的に接触状態に加え、3つのナノギャップレベルで近接した非接触状態とで導通を保持し続けます。この3つの非接触状態はグリースやオイル、塵芥などのコンタミがある環境でもアース効果を発揮し、モータの回転数に関係なく、機能を保持し続けられます。イージス®リングはモータの長寿命化やメンテナンスフリーが実現でき、またモータ内部など、メンテナンスができない部分へもお取付け頂けます。
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軸にオイルやグリース、塵埃が付着する環境でも使えますか?
少量のオイルやグリースはモータの軸表面の導電性が維持できている限り問題ありません。ファイバは軸と接触を保持し、さらにそれが表面からオイルを"掃き出す"効果もあります。
また塵芥についても少量であれば問題ありません。運転中、ファイバが塵芥を"掃き出し"ます。軸表面は必ず導電性を維持しなければなりません。
正逆回転や高速回転でも使用できますか?
正逆回転でも問題ありません。イージス®リングは、多くの電気自動車でも採用されていますが、使用されるモータは正逆回転します。また、高速回転では、実質的に非接触状態となり摺動がなくなるため、周速の制限はありません。特別なアプリケーションの場合は都度、ご相談ください。
イージス®リングの取付けをお願いできますか?

既存モータへのイージス取付け

イージス®リング取付店(モータ整備会社)をご紹介します。

モータを整備する際に電食対策を実施することも多々あります。新しいベアリングやグリースに交換するタイミングで電食対策を行うことで、グリースやベアリングの劣化・損傷を最適なコンディションで維持できるようになり、モータのMTBF(平均故障間隔)を延長させることが可能です。

高出力のモータでは軸絶縁も必要になります。
もし軸絶縁していない場合は、反負荷側のベアリングを絶縁ベアリングに交換する必要がある場合もあります。

モータ整備や軸受交換と同時にイージス®リングを取付けることができる経験豊富な整備会社もご紹介できますので、お気軽にご相談ください。

モータを購入する予定です。イージス®リング付きのモータもありますか?

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ぜひ、モータメーカにご指定ください。

イージス® リングをオプションで取付け対応するモータメーカがあります。主要モータメーカでは、電動機を購入する際にイージス®リングを取付けるようご指定いただけます。

特に、後からの軸受電流対策の導入が極めて難しいインバータ制御の防爆モータやギアモータは、購入時にご指定いただくことを強く推奨します。


イージスリングはモータ購入時に指定可能です。

この商品に
関するお問い合わせ

用途や機能などの諸条件に適した商品をご提案することも可能です。お気軽にお問い合わせください。
お近くの営業所でもうけたまわっております。

福田交易株式会社 本社営業部

03-5565-6811