概要
スレッドミーリング(スレッドミリング)とは、従来のタッピングに代わり、専用の切削工具を使用する雌ねじを加工する方法の一つです。 ねじよりも小さい径の切削工具を高速で回転させ、軸をヘリカル回転させ、且つZ方向にねじのピッチと一致した移動をさせることによりねじを製作します。軸をこのように動作させるため、使用する機械にはXYZ三軸の同時制御が可能で、且つヘリカル補間機能を有していることが必要です。
タッピングに対する優位性・メリット
スレッドミーリングは、従来のタッピングに対して多くの優位性を有します。
-工具の種類の削減
タッピングは、左右のねじの加工にはそれぞれに対応した工具が必要ですが、スレッドミーリングにおいては左右のねじは共通の工具で加工できます。また、径が異なるねじにおいても、多くの場合は工具を共通化させることが可能です。
-低い加工負荷
スレッドミーリングの工具とワークの接触面積がタッピングと比べて小さいため、工具(およびスピンドル)への加工負荷は小さくなります。その結果、工具およびスピンドルのベアリングの長寿命も期待できます。
-不完全ねじ部の削減
加工方法および工具の形状から、スレッドミーリングにおいては不完全ねじ部が無い止まり穴にもねじを加工することができます。
-工具が破損しても処理が簡単(貫通穴の場合)
タッピング加工中に工具が破損した場合、タップは穴に残ってしまい、抜き取るのに時間がかかります。スレッドミーリングの工具は穴径よりも小さいため、破損しても穴から容易に抜き取ることができます。
-加工時間短縮
タッピングにおいては一般的にスピンドルを低速回転させ、ねじ方向へ送っていきます。ねじ加工完了後、工具を逆回転させてねじに沿った動作で穴から抜き取らなければなりません。スレッドミーリングにおいては、工具の径が小さいため高速回転させることが可能であり、ヘリカル加工の動作で早く加工することが可能であり、さらにねじの形状に影響されることなく穴から工具を抜き取ることが可能です。その分、加工時間を短縮させることができます。
小径のスレッドミーリング加工に使用するスピンドルには、弊社の ColibriJet を推奨いたします。