エアベアリングとは

エアベアリングは、薄い空気の層を利用した非接触の潤滑方法です。ベアリング面とガイド面の間に加圧空気を送り込み、ベアリング面側またはガイド面側を浮上させます。非接触なので機械的な摩擦や摩耗が発生せず、実質、空気の粘性抵抗のみとなります。従来の転がり軸受等接触式のベアリングと比較して、非常に小さな抵抗での潤滑を実現します。

エアベアリングは、原理として動圧タイプと静圧タイプに分類されます。

• 動圧タイプは、接触式ベアリングでは支持できない高速回転軸で利用されます。回転に伴う空気の巻き込みにより空気層を形成して軸を支持し、非接触ベアリングとして機能します。
• 静圧タイプは、コンプレッサー等、外部に圧縮空気源を必要とし、加圧された空気を小孔・溝・段差・多孔質材等で流量制限してベアリング面に供給、最適な加圧空気層を形成させることで非接触ベアリングとして機能します。

エアベアリング面に設けた小孔で空気流量を絞るタイプ。小孔から噴出する空気がベアリング面／ガイド面間に加圧空気層を形成して、ベアリングを浮上させる方式。

ガイド面やベアリング面に傷がある場合やガイド面に穴・窪みがある場合や、ベアリング面の一部がガイド面から外れる場合、それらの箇所から空気が流出して加圧空気層が喪失するため、ベアリングの浮上力が大きく低下、または接地します。また、ベアリング面が傾いた場合も、開いた隙間側へ加圧空気が流れ出るため同様です。

ベアリング面に溝を設け、その溝底部に空気供給孔を設けたベアリング面／ガイド面間で空気流量を絞るタイプ。溝に供給された空気が、ベアリング面／ガイド面間の流路抵抗で発生する圧力によって、ベアリングが浮上する方式。

自成絞りタイプと比べて、より浮上高さを低く抑えることが出来ます。荷重が載ってベアリング面／ガイド面間の隙間が小さくなる場合は、溝部の空気圧が増加し浮上剛性が増します。また、空気供給を開始する前にベアリング面とガイド面が接している場合は、溝に満たされた加圧空気によって、自成絞りタイプより大きい初期浮上力を得やすい特長があります。
一方で、ガイド面やベアリング面に傷がある場合、ガイド面に穴・窪みがある場合、ベアリング面の一部がガイド面から外れる場合、それらの箇所から空気が流出して加圧空気層が喪失するため、ベアリングの浮上力が大きく低下、または接地します。また、ベアリング面が傾いた場合も、開いた隙間側へ加圧空気が流れ出るため同様です。

ベアリング面に窪み(ポケット)を作り、その穴底部にオリフィスを設けて空気流量を絞るタイプ。ポケット及び、ベアリング面／ガイド面間の空気の流路抵抗で圧力を発生して、ベアリングを浮上させる方式。

荷重が載ってベアリング面／ガイド面間の隙間が小さくなる場合は、ポケット部の空気圧が増加し浮上剛性が増します。また、空気供給を開始する前にベアリング面とガイド面が接している場合は、ポケットに満たされた加圧空気によって、自成絞りタイプより大きな初期浮上力を得やすい特長があります。
前述1.自成絞りタイプや2.表面絞りタイプ同様に、ガイド面・ベアリング面に傷がある場合やガイド面に穴・窪みがある場合、ベアリング面の一部がガイド面から外れる場合、それらの箇所から空気が流出して加圧空気層が喪失するため、ベアリングの浮上力が大きく低下、または接地します。また、ベアリング面が傾いた場合も、開いた隙間側へ加圧空気が流れ出るため同様です。

スポンジの様に、無数の微細な穴が開いた多孔質材を利用して空気流量を制限するタイプ。前述1.自成絞りタイプ、2.表面絞りタイプ、3.オリフィスタイプ、とは異なり、ベアリング全面から加圧空気が出てくる仕組みで、圧力分布の均一な加圧空気層をベアリング全面に作り出し、ベアリングを浮上させる方式。

大きな特長は、ガイド面・ベアリング面に傷がある場合やガイド面に穴・窪みがある場合、ベアリング面が傾く場合、ベアリング面の一部がガイド面から外れる場合でも、加圧空気層が喪失することが無くベアリングの浮上力は大きく低下しません。例えば、ガイド面端部からベアリング面がはみ出た場合でも(下図)、ガイド面に載っているベアリング面下には加圧空気層が形成され続けるので、エアベアリングはガイド面に載っている面積分の浮上力を発生させることができます。さらに、多孔質材タイプはベアリング面の傾きにも比較的強く、高い傾斜ピッチモーメント剛性を有します。