はじめに
オイルシールは、毎年1,000億円強が出荷販売される*1、機械のシールとして最もよく使われる工業用シールと言っても過言ではありません。その用途は、自動車からポンプ・ギアボックスなどの産業用機械に幅広く使われています。
今回は、そのオイルシールを使用する上で、「ひと工夫できる使い方のアイデア」をご紹介します。
塵埃などのダスト侵入対策でリップ保護を強化して、オイルシールを長持ちさせてはいかがでしょうか?
*1 「2019年経済産業省生産動態統計 年報 紙・印刷・プラスチック製品・ゴム製品統計編」による
軸摩耗への工夫
シャフトを素早く修復する
高いシール性と入手性の良さからオイルシールは自動車をはじめ様々な機械に採用されています。高い利便性に反して、オイルシールのリップ先端が接触する、シャフト外径には摺動による摩耗が避けられません。
オイルシールは交換して新しいものになりますが、機械の軸を毎回、分解し、肉盛り溶射し、研磨して再組立てするには、大変な労力とコスト、さらに時に1時間あたり数百万円といった莫大なダウンタイム損失を招きます。
そのようなとき、軸を分解・修理・再組立てすることなく、シャフト摩耗をクイックに修復する「SKF スピーディ・スリーブ」が役立ちます。
シャフトに深い摩耗がある場合は、溝に粉末金属エポキシ系充填剤を充填します。
SKF スピーディ・スリーブは、厚み0.28mmのステンレス製スリーブを、摩耗したシャフトにそのまま組み付けて、新しいオイルシールを組み込んで、その名の通り"スピーディ"に運転再開できるため、ダウンタイムの短縮に大きく貢献します。

スピーディ・スリーブ 組込みガイド
リップ保護の工夫・改善
オイルシールのリップ保護①
ダストリップ付きオイルシールを使用しても塵埃や泥土によるリップへの攻撃を避けられません。そこで、FEY薄形ラビリンスリングをリップ保護用の一次側シールとして、シールを追加できます。
オイルシールの摩耗は、異物のかみ込みが原因であることが多いと言われています。そのため、オイルシールのシールリップにはなるべく外来異物を到達させないことが、オイルシールの寿命、さらにベアリング寿命、そして設備の生産性にも直結します。ラビリンスリングによって異物をシールし、シールリップの環境を維持することが、機械の信頼性を高めることへつながります。


オイルシールのリップ保護②
軸端部に取り付けられたオイルシールへ更にフォーシェダV-リングを取り付けることで、オイルシールへの塵埃や泥土の侵入を防ぎます。
フォーシェダV-リングは、1960年代のスウェーデンで開発されて以来、フェイスシールの代表的なシールの1つです。

シール選定の工夫
オイルシールからVリング
機械仕様によってはオイルシールからフォーシェダV-リングに置換することでモーターの電力損出の削減とシャフト摩耗によるメンテナンスが解消されます。
また、機械側の精度を必要とするオイルシールに比べると、フォーシェダV-リングは、独自の形状と製造方法により、リップが非常にしなやかに動き、多少の軸方向移動、軸振れ、偏芯に追従できる柔軟性があります。
スピーディな供給体制
こちらでご紹介した製品は、数多くを当社の在庫管理センターで、適切に国内在庫しています。
■ 在庫管理センター

敷地面積3,636m2、免震構造の建物は、年間を通して温度・湿度を管理する空調設備を備え、海外サプライヤから出荷された商品は、最適な状態で保管・在庫されます。
そして、自社開発の物流システムに連動して、迅速かつ丁寧に梱包し、お客様のもとにお届けします。
福田交易株式会社 在庫管理センター〒263-0005千葉県千葉市稲毛区長沼町338-11
担当者コメント
メカニカルコンポーネンツ部シール技術課 石井 泰史(Yasufumi Ishii)
回転機器の軸受保護用シールや軸封シールなど、欧米からのユニークな製品をご提案します。 お客様の様々な環境下の設備機械にかかわるシールについて、最善のご提案をご用意 いたします。是非、当社までお気軽にご相談ください。