用途
- モーター、ポンプなどの回転機器
- 大型機器などの回転部分(風力発電機、製紙機械、製鐵機械、他)
特長
- 幅広い軸径に対応し芯振れや偏芯にも追従
- 動力損失や摩擦熱の発生を最小限に抑制
- 簡単な取り付け
様々な断面形状と材質(ニトリルゴム、フッ素ゴム、他)より選択が可能です。
フォーシェダ V-リング
オリジナルであること
フォーシェダ V-リングは、1960年代にスウェーデンのフォーシェダ社(Forsheda AB)で開発された回転軸用ゴムシールです。
50 年以上の歴史を持つフォーシェダ V-リングは、現在も世界中のさまざまなアプリケーションで幅広く使用されています。
フォーシェダ V-リングの独特な形状と機能は、さまざまな種類のベアリングなどのグリースを保持しながら、塵や埃、水やその混合物の浸入を防ぎます。また、過酷な環境により本来のシールの機能が発揮できない他種のシールに対し、2 次シールとして使用されています。
特殊な機械加工による特徴
材質
多用途に対応
オリジナル・ブランド
特徴と作動原理
フォーシェダ V-リングは金属や繊維などの補強材を使用せず、単一の材料だけで作られたゴムのシールです。
取付けが簡単で、通常引き伸ばしてシャフトに取付けて使用します。途中にフランジやプーリーなどの径の大きな部品があっても、乗り越えて取付けることが可能です。フォーシェダ V-リングはゴムの弾性による張力でシャフトに固定されます。
作動原理は、シャフト回転の場合、シャフトと共に回転し、静止したカウンターフェイスをシール面とするフェイスシールです。シール面にはハウジング、ワッシャー、ベアリング端面や刻印のないオイルシールの金属ケースなどが使用できます。
柔軟性に富んだリップは、シール面に対し極めて僅かな接触圧でシール性能を発揮し、取付け幅の調整でドライ運転も可能です。また、柔軟なリップは芯振れや偏芯にも追従します。
タイプ
A | S | L | LX | RM | RME | AX |
---|---|---|---|---|---|---|
標準品 | 受注生産品 | |||||
Φ2.7mm ~ Φ2,010mm | Φ4.5mm ~ Φ210mm | Φ105mm ~ Φ2,025mm | Φ135mm ~ Φ2,025mm | Φ300mm ~ Φ2,010mm | Φ300mm ~ Φ2,010mm | Φ200mm ~ Φ2,020mm |
汎用性が高い標準タイプ | テーパー形状を持つ幅広ボディ シャフトへの強固な固定が可能 |
断面積が小さいコンパクト設計 | 断面積が非常に小さいコンパクト設計 | 製鉄用ロールミルや製紙か機械の大径で高速回転の用途に対応するヘビーデューティー用です。水やコンタミを伴う過酷な用途の2次シールとしても使用されます。 |
材質
- 耐薬品性
- 耐温性 (低温・高温)
- 対候性および耐オゾン性
- 耐摩耗性
- 低摩擦
- 弾力性
- 低圧縮永久歪
一般的に最も多く使用されている材質は全般的に優れた特性を持つニトリルゴム(NBR510) です。温度が100℃以上になる用途や腐食性の流体をシールする場合はフッ素ゴムFKM907/900 をご使用ください。フォーシェダ V-リングは広範囲の材質から選定できます。
最適な材質の選定のために、下記の条件を考慮します。
耐熱性
フォーシェダ V-リングは、高温にさらされるとゴムの老化、伸び率の減少、圧縮永久歪の増加が加速的に進行します。最終的にゴムが硬化して、弾性がなくなり、もろくなり、シール寿命を短くします。
使用温度範囲を参考に、想定される温度で耐えられる材質を選定します。
オイルや溶剤の耐性
フォーシェダ V-リングは、主にグリース潤滑ベアリングをシールして外部からの飛沫水・塵・粉塵・埃の浸入を防ぐため、一般的に標準材質ニトリルゴム(NBR510)が用いられます。
しかし、現在ではさまざまな種類の潤滑剤の入手が可能で材質に対する影響も異なります。同じ潤滑剤の種類でも製造メーカーによって異なった影響が考えられます。
添加剤によっては、フォーシェダ V-リングの材質に影響を与えることがあります。特に影響が大きい油種は、硫黄を含むハイポイドオイルです。
硫黄はニトリルゴム(NBR510)の加硫剤として使用されるため、80℃以上になると2 次加硫が起こり、硬化してもろくなります。水素化ニトリルゴム(HNBR576)とフッ素ゴム(FKM900/907)は硫黄で加硫していないので、高温のハイポイドオイルで使用できます。
また、酸化したオイルの特性は著しく変化して、フォーシェダ V-リング材質へ影響を与える場合があります。特にシリコーンゴムはこのような酸化したオイルに影響を強く及ぼされることがあります。 またその他の各溶剤でも、同様にゴムの膨張や劣化を引き起こすこともありますので、カタログに記載した情報をご参考頂き、詳細については、弊社までご相談ください。
ゴム材質の選定表
材質コード | 材質 | 特徴 | 入手性 |
---|---|---|---|
NBR510 | ニトリルゴム | 一般用途に最適 | ◎ |
FKM900 | フッ素ゴム | 高温用途・耐薬品性・耐オゾン性に優れる 黒色(≧Φ20mm) |
◎ |
FKM907 | フッ素ゴム | 高温用途・耐薬品性・耐オゾン性に優れる 茶色(≦Φ18mm) |
◎ |
NBR562 | ニトリルゴム | 低摩擦仕様 | ○ |
CR415 | クロロプレンゴム | 耐オゾン性 | ○ |
HNBR576 | 水酸化ニトリルゴム | ハイポイドオイルの高温用途 | △ |
NBR555 | ニトリルゴム | ヘビーデューティー用途 | △ |
NBR556 | ニトリルゴム | FDA規格に準拠 | △ |
EPDM762 | エチレンプロピレンゴム | 耐候性・耐オゾン性に優れる アセトン、アンモニウム、カーボネイト、ベンズアルデヒドなど特殊薬品への耐性を持つ |
△ |
使用方法
詳細な情報や取扱い方法に関しては、必ずカタログをご確認ください。
シャフト設計
フォーシェダ V-リングは、回転シャフトへ取付けることが一般的で、単一材料で作られたシールであり、引き伸ばして使用するため、シャフトに求める外径公差や面租度は厳しくありません。
シール面設計(カウンターフェイス)
リップがあたるシール面の状態はシール性能へ大きく影響を与えます。シール媒体と周速で、シール面の材質と面粗度を決定します。また、取付ける位置も性能を左右させる重要な要素ですので、必ずカタログをご参考ください。
材質と硬度
材質は、冷間圧延鋼、ステンレス鋼、亜鉛メッキ鋼などが適していますが、シール媒体にも影響を受けるため、下の表をご参考ください。
材質 | 硬度 HB | シール媒体 |
---|---|---|
軟鋼 | 125 ~ 150 | 飛沫水、砂、ダスト |
鋳鉄 | 190 ~ 270 | 飛沫水、砂、ダスト |
焼結ブロンズ | 100 ~ 160 | 水、ダスト |
ステンレス鋼(Cr/Ni 18-8、C 0.1%) | 150 ~ 200 | 水 |
ステンレス鋼(Cr/Ni 18-8、C 0.15%) | 350 | 水と摩耗性粉体 |
加工軟化した耐酸鋼 | 180 ~ 200 | 化学薬品 |
タングステンカーバイト | 350 ~ 500 | 水とスケール |
鍛造鋼 | 200 ~ 255 | 水とスケール |
ダイキャストアルミニウム | 90 ~ 160 | 飛沫水 |
シール面の表面処理と面粗度
シール面が、水やその他の腐食性媒体に接触する場合は表面処理が必要です。 軟鋼のシール面は、亜鉛メッキかクロムメッキの処理を施す、或いはモリコート106 などの耐食剤をスプレー/塗布してください。 シールが水に浸かる場合は、ステンレス鋼を使用しますが、ステンレス鋼は熱伝導性が悪いので、周速1 [m/s] 以上でのドライ運転はできません。
シール面の面粗度は、シール摩耗に影響する原因の1つです。
シール媒体や周速で面粗度を決定させますが面粗度値だけでなく、旋盤加工仕上げと加工後に引き目の突起部のバフ仕上げを行い、シール面を均一に平坦にする必要もあります。 シール媒体が流体や微粉塵の場合は特にシール面に傷や損傷がないようご注意ください。 また逆に面粗度を必要以上に上質に仕上げると、シールリップとシール面が吸着現象を起こし、異音やスティックスリップの原因となります。面粗度はRa0.05よりも滑らかにしないでください。
面粗度 Ra [μm] | 周速 [m/s] | シール媒体 |
---|---|---|
0.4 ~ 0.8 | 10 > | オイル・水・スケール・繊維 |
0.8 ~ 1.6 | 5 ~ 10 | 飛沫オイル・グリース・飛沫水 |
1.6 ~ 2.0 | 1 ~ 5 | グリース・埃・飛沫水・スケール |
2.0 ~ 2.5 | < 1 | グリース・埃 |
平面度
シール面の平面度は重要です。特に周速が早い場合は平面度に影響を受けます。一般的に、最大許容平面度の偏差は0.4mm/100mm です。
フォーシェダ V-リングのサポート
オイルやグリースをシールする場合や、シールの材質やB1寸法にもよりますが、周速が6~8 [m/s] を超える場合では、フォーシェダ V-リングの軸方向へのサポートが必要です。 サポートを使用するとシール面に対してフォーシェダ V-リングの正確な位置決めが簡単におこなえますので、見えない位置でのフォーシェダ V-リングの取付けや交換時にも確実に取付けがおこなえます。 シャフト上のフォーシェダ V-リング本体の各シリーズのサポートは下記に従い設計してください。 各寸法はカタログの寸法表をご確認ください。サポートの直径φd5 は次の計算式を使用し算出してください。
径方向の固定
シャフト回転の場合、回転速度が大きくなると遠心力の影響を受け、フォーシェダ V-リング本体がシャフトから浮き上がる問題が生じます。材質やフォーシェダ V-リングの引き伸ばし量により異なります、周速が10 ~12 [m/s] を超える場合に径方向の固定が必要になります。
φ2,000mm 以上のフォーシェダ V-リングでは、周速に関係なく径方向の固定が必要です。 径方向の固定は、フォーシェダ V-リング本体に埋込む凹や分割されたクランプ機構などを利用します。 径方向の固定方法やフォーシェダ V-リング専用のクランピングバンドについてはご相談ください。
固定シールとしての取付け
周速が10 ~ 12 [m/s] 以上になる場合、遠心力の影響を受けないように、フォーシェダ V-リングを固定側で使用する場合もあります。固定側で使用するとリップが遠心力の影響を受けないので、リップの接触圧は周速に関係なく一定です。
通常の回転するフォーシェダ V-リングに比較し、摩擦や動力損失が大きくなるため、多少寿命が短くなります。それを補うために下記の項目に従ってください。
大口径など加硫接合による取付け
フォーシェダ V-リングを取付け・交換する場合、機械停止時間の削減と機械を分解し再組立てをおこなう時間を短縮するために、カットしたフォーシェダ V-リングをシャフトに取付け、現場で加硫接合することができます。
使用するフォーシェダ V-リングを現場でカットする方法と、あらかじめカットしたフォーシェダ V-リングを納入することもできます。断面積が大きいRM / RME の両タイプは、あらかじめカットされたフォーシェダ V-リングをご使用ください。
現場での加硫接続作業の詳細はお問い合わせください。
フォーシェダ V-リング 使用例
標準品のAタイプ、Sタイプ、Lタイプ以外にもLXタイプ、AXタイプ、RMタイプ、RMEタイプなど様々な装置にお使いいただけます。
スピンドル
ロボット
ギアボックス
OA機器
ミル
スピーディな供給体制
■ 在庫管理センター
敷地面積3,636m2、免震構造の建物は、年間を通して温度・湿度を管理する空調設備を備え、海外サプライヤから出荷された商品は、最適な状態で保管・在庫されます。
そして、自社開発の物流システムに連動して、迅速かつ丁寧に梱包し、お客様のもとにお届けします。
〒263-0005千葉県千葉市稲毛区長沼町338-11
フォーシェダ V-リング 動画資料
柔軟なリップが軸振れを吸収しながらシール性を維持している様子
液体に浸水させた状態での使用
この商品に
関するお問い合わせ
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福田交易株式会社 本社営業部
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