概要

バスタブ曲線(bathtub curve)は、機械や装置が運用され始めてから、やがて寿命を迎えるまでの期間を、「初期故障期」「偶発故障期」「摩耗故障期」の3つに区分し、横軸に経過時間tを、縦軸に故障率をとるグラフ(図1)です。
図1は、個々のデータではなく、機械や装置が生産された総数の故障率を統計的に描いた一例です。

図1 バスタブ曲線の例

初期故障期

「初期故障期」(early failure period、infant mortalityなど)は、機械や装置の使用開始から、最初の一年程度がこの期間とされ、材料の欠陥、設計時のミス、製造エラーや検品漏れなどが原因で、比較的故障率が高い傾向にあります。ある程度時間が経過すれば故障発生の確率も落ち着いてくるため、グラフが下降していく傾向にあります。

初期不良の発生を下げるための手法として、機械・装置を実際に想定される仕様や方法(機械的や電気的なストレスを与えた状態)で一定期間放置させ、故障や機能的な不具合がないかなどを確認する、バーンイン試験(burn-in)などがあります。

偶発故障期

「偶発故障期」(intrinsic failure period、useful lifeなど)では、ある程度、使用開始まもなく発生・発覚する故障期を過ぎ、故障の発生する確率も安定する傾向にあるため、初期故障期に比べると、故障率が低い傾向にあります。

例えば、電子機器で用いられる電解コンデンサは、曝される温度が10℃上がるとコンデンサの寿命が1/2に、逆に10℃下がれば2倍になる10℃・2倍則という特徴があり、摩耗故障期を迎えるまでの時間が、温度に強く影響を及ぼされ変化する場合があります。機械や装置で使用される構成部品の中で、このような部品が影響を及ぼし、故障をもたらします。

摩耗故障期

「摩耗故障期」(wear-out failure period)は、摩耗や疲労などにより、機械や装置の潜在的な故障が表出する時期です。

例えば、"産業機械の米"と呼ばれる、転がり軸受の場合、疲労や潤滑剤の枯渇、異物介在で摩耗が進み、やがて故障します。はく離(フレーキング)が発生したり、潤滑剤が漏出したり劣化することで、摩耗故障期を迎えることがあります。L10疲労寿命計算で、はく離が発生するまでのおおよその時間を割り出し事前に新しい軸受に交換し、また潤滑剤の漏出や異物侵入、温度や通電の影響による潤滑の劣化への対策を施すことで、より機械・装置としての耐用期間(useful life)を延ばすことができます。

目指したい理想曲線

図2 理想的なバスタブ曲線の例

故障の発生抑制が重要であることは、機械や装置の製造者側にとっても、また利用者側にとっても、自明の理です。

過去の設備保全実績やそれらの情報から、故障や不具合の要因、交換頻度を予測して対策することでバスタブ曲線を緩やかにすることができます。故障してからの修繕する(Breakdown Maintenance)のではなく、例え、イニシャルコストが大きくなったとしても、リスクを下げる対策を導入することで、結果的に、費用対効果の大きくなる実例が多数あります。設備の新設・更新・メンテナンスを機会にこれらの対策を検討することが非常に有効です。

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