アンギュラ玉軸受や円すいころ軸受のカタログを眺めていますと、接触角という表記が出てきます。接触角には15°のものもあれば25°といった様々な角度が存在しております。
ではこの接触角とは何を意味しているのでしょうか?角度の違いがベアリングの性能に影響を及ぼすのでしょうか?今回は「接触角」をテーマにしたいと思います。

JISB 1513を確認しますと、以下の表が記載されております。(表1)
アンギュラ玉軸受の場合、呼び接触角が22°をこえ32°以下の場合はA、呼び接触角が32°を超え45°以下のものはB、呼び接触角が10°を超え22°以下のものはCと表記します。円すいころ軸受の場合は、呼び接触角が17°をこえ24°以下の場合はC、呼び接触角が24°を超え32°以下のものはDと表記します。

表1 JISB 1513より抜粋

軸受の形式 呼び接触角(※2) 接触角記号
単列アンギュラ玉軸受 10°を超え22°以下 C
22°を超え32°以下 A(※1)
32°を超え45°以下 B
円すいころ軸受 17°を超え24°以下 C
24°を超え32°以下 D
※1...Aは省略することができる
※2...呼び接触角は転動体と軌道面とが荷重0の状態で接触したときの接触角を表す

表1を確認しますと、接触角の角度によって接触角記号が分かれております。ただ、メーカによりましては接触角の値や記号が異なることがありますので注意が必要です。例えば、弊社が取り扱っております Shaeffler社製(世界第2位)のアンギュラ玉軸受GMN社製(精密アンギュラ玉軸受に特化)のアンギュラ玉軸受は、25°の接触角を有するベアリングをアルファベットのEで表記しております。

では次に、そもそも接触角とはどの部分を表すかについて説明します。図1をご覧ください。玉軸受ですと、転動体は内輪軌道輪と外輪軌道輪に対しそれぞれ1つの点で接触すると考えられております。(下図赤丸部)これら2つの点を結んだ線は荷重の作用線とも呼ばれ、外部から加えられた荷重はこの作用線を通ることで、一方の軌道輪(内輪or外輪)からもう一方の軌道輪(外輪or内輪)に伝わることになります。この作用線と、軸の中心線に対して垂直な線かつ転動体の中心を通る線との間に形成された角度を接触角と呼びます。

接触角1

図1 接触角

この接触角は、ベアリングが受けることができるアキシアル荷重/ラジアル荷重、ベアリング自体のアキシアル/ラジアル剛性等に影響を及ぼします。

例えば以下の図をご覧いただきますと、感覚的にどちらの荷重に対し強いか/弱いかというのが見えてくると思います。(接触角15°と25°とで比較)

接触角2

接触角3

接触角が小さい方がラジアル荷重に対して強くなりますが、アキシアル荷重に対しては弱くなります。逆に接触角が大きい方がアキシアル荷重に対して強くなりますが、ラジアル荷重に対しては弱くなります。

簡単にまとめますと、接触角は角度を有するつっかえ棒ということになり、そのつっかえ棒の倒れ具合で軸受が受けられる負荷容量・剛性等、すなわち軸受の特性が決まってくるということになります。

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