概要

ラビリンスシール(Labyrinth Seal)は、軸受や歯車などの潤滑油に異物が浸入しないように、または潤滑が漏れないように、機械の回転軸とハウジングの間で封止(シール)するための部品、またはその構造をいいます。

Labyrinthは、迷宮・迷路という意味があり、シール内部の構造が複雑・精巧であることで、シール性を高めます。

オイルシールやOリングなどと異なり、規格で決められていないため、世の中にあるラビリンスシールは、様々なタイプのものがありますが、ラビリンスシールが、回転部・固定部で構成される点が、オイルシールなどの摺動シールと大きくことなる点です。

ラビリンスシール.jpeg

機能

ラビリンスシールの働きは、シール構造内部で異物が進みづらくし、その間にシールから排出することで、軸受や歯車などに異物が到達しないように工夫されています。

1.シール内部を異物が進みづらくなる仕組み

ラビリンスシールの回転部(ロータ)と固定部(ステータ)の隙間を「ラビリンス隙間」「ギャップ」などと言います。このギャップが狭いほど粘性摩擦抵抗によって、流体の進行を妨げます。

一方で、狭い隙間では、毛細管現象による流体移動が起こりやすいことに加え、シールの両面で僅かでも圧力差が発生すると、内部の異物が進みやすくなる点もあり、ギャップの設計には、シールに関するノウハウが求められます。ホースでジュースを飲むのと、ストローで飲むのとでは後者が簡単に吸えると思います。これがわずかな圧力差によって流体が進みやすい分かりやすい体験かもしれません。

また、ギャップの距離が長いことや曲がり角が多いことなどもシール性に大きく関係します。

2.シール内部から排出する仕組み

シールに入ってしまった流体は、残留せず排出させることが重要です。簡単にその働きを促す力として、遠心力・重力・圧力差があります。

遠心力

遠心力Fは、異物の質量m、回転している部品の半径r、そして回転数に依存します。ωは角速度といい、単位時間あたりの角度の進みを意味するので、回転数に比例します。回転数が2倍になると遠心力はその2乗で4倍になります。

F=m∙r∙ω2

重力

異物の質量に重力加速度をかけたものが重力Fです。粉体など質量が小さいものは、この質量mを活用することがとても難しいため、ラビリンスシールの運用で特別な工夫が必要です。

F=m∙g

圧力差

圧力差はシールの内部や機械内部に流体(エアー)をいれ、内部の圧力を高めておくことで、内部進行を防ぎ、シール内部の異物を追い出します。遠心力も重力も作用させにくい、質量が小さい粉体をシールする場合や、軸の向きが変わる場合などでは、ラビリンスシールに、エアーパージを利用することでシール性を高められます。

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