概要

周速(surface speed、circumferential speedなど)は、物体の回転における接線方向の速度です。回転体の速度を表す方法として回転数や周速(または周速度)、或いは角速度が挙げられます。

その表現方法は分野により異なり、工作機械では切削加工機械の切削速度(cutting speed)や研削加工機械の砥石条件として扱われる場合、周速を分速(m/min.)で示されることがあります。また、オイルシールなど軸封装置(シール)の場合は、アプリケーションにより周速を秒速(m/s)で表す場合や、回転数(min-1)で表す場合があります。

求める方法

周速の求め方

周速V(m/s)は秒速の場合、回転体直径を D(mm)、回転数を N(min-1)とすると、次の式で求められます。

V(m/s)=π x D(mm)x N / 1,000 x 60

V = D x N xπ/60,000

回転数の単位は、「rpm」(読み:あーるぴーえむ:revolutions per minute)を使用することもありますが、SI単位で推奨される「min-1」を用いることが増えています。
もし精密な計算が不要な場合、次の定数だけを覚えておけば、素早く求められるため便利かもしれません。

周速 V(m/s) ≒ 回転数(min-1)× 直径(mm) ÷ 19,100

(60,000÷π=19098.59317≒19,100と簡略化しています)

周速と角速度の関係

回転速度を示す方法は、周速以外に、1秒で進む角度を示す角速度ω(rad/s)が用いられることもあります。

角速度 ω(rad/s) = 2πN/60

シールや転がり軸受における回転速度

シールの設計や部品選定・検討において、オイルシールなど接触式シールは、シールリップにおける摩擦や摩耗、発熱、寿命などの観点から、回転数よりも周速が多く用いられます。

また、同じ接触式シールでもフォーシェダV-リングは、フェイスシールと呼ばれ、軸へシール本体が取付けられ、リップは機械平面に摺動するシールです。リップが摺動するため周速も重要な要素ですが、軸に固定するため軸回転であれば遠心力も同時に考慮する必要があるシールです。

ラビリンスシールなど非接触式のシールでは、原則、摩擦力や発熱が無視できるほど小さい半面、シール自体の機械的強度やシール性の検討において、周速よりも回転数が用いられます。

ラビリンスシールの場合、シール性能やシール自体の機械的強度に、「遠心力」が大きな検討項目となります。これは、遠心力が、質量m[kg]と半径[mm]と角速度[rad/s]の積となるためです。例えば、回転数が大きくても、半径が小さければ遠心力はその分、小さくなります。そのため、遠心力による影響を検討する場合は、角速度と比例関係にある回転数を用いる方が都合がよいのです。
このためラビリンスシールの場合は、周速よりも「回転数」を使って表現されることが多くあります。

また、転がり軸受では、許容される回転速度として、許容回転数(min-1)を示すことがある一方、高速回転においては回転数だけでなく、潤滑の攪拌熱や剛性検討など、軸受の寸法も大きく影響を受けるため、回転数と軸受内径d(mm)との積を表すdn値(dn value)、また回転数と軸受の転動体中心のピッチ円中心の径dmとの積を表すdmn値(dmn value)で示されることがあります。

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